お役立ちウェブセミナー 第8回

2月末の雪での事故は有りませんでしたか?
前回年間事故数の目標と目標修正のお話を取りあげて
さっそく変更しなければ!!!なんていう負のお役立ちになっていないとは思いますが、
東京に本当に雪は無用ですね。
第8回目のウエブゼミですが、

前回の「目標」の達成状況が思わしくない場合・・・
事例として1年間の「目標=今年度の自責事故発生件数を10件以下にする」
で、半年経過後の6月末に自責事故発生が10件になってしまった場合・・・
要するに、1年間で10件以下という自責事故目標が
半年で発生してしまって、年間目標の達成が不可能な場合は、

“なぜ、半年で10件も自責事故が発生してしまったのか?”の
原因追究を徹底的に行い、
目標を下方修正することの必要性を中心に説明しました。
もちろん、その逆で「目標」の達成状況が良好な場合は
“目標の上方修正”も有り得ますよね。
「目標=今年度の自責事故発生件数を10件以下にする」に対し
半年後の6月末に目標の達成状況を確認したら、
“1月~6月の自責事故発生=2件”だったとしましょう。
「やったぁ! あと半年件は8件の自責事故を起こしても目標は達成だ!!」
では無く、「1~6月の半年間で2件の発生だから、残りの半年間で1件にしよう!」
が経営者、リーダーの考えるべき事であり、「マネジメントシステムの考え方」や
「目標管理」の概念からしても上方修正ですよね。
「マネジメントシステム=PDCA」を覚えていますか?

P=Plan:計画
D=Do:実施
C=Check:検証・確認
A=Act:改善・是正

目標管理をPDCAで考えてみますと、
「目標、措置(達成手段)を立案する=P」
「目標、措置(達成手段)を運用する=D」
「目標の達成度評価をする=C」

事例の場合、
1年間で”自責事故発生10件以下”という目標と
措置(達成手段)を立案しましたね=P
そして、目標を達成に向けて
措置(達成手段)を運用しましたね=D
そして、半年後の6月末に
達成状況を確認しましたね=C
目標の達成状況を確認したら、
当初の目標より、良かったのです。

その場合、さらに上の目標を立案し、
達成するために、改善・見直すのです=A
その結果、新しい目標・・・例えば、
“自責事故発生を年間3件以下にする”=P
という具合ですね。
(最初の半年間で2件発生ですから、残りの半年間1件発生で、計3件)
このように、安全目標の管理についてもネジメントシステムの考え方で管理していきましょう。

ここで、ちょっと蛇足ですが確認事項です。

皆さんの中で、PDCAは、”A”で終わると思っている方は
いらっしゃいませんか?

PDCAは、永遠に廻ります。

そして、改善されていきます。
そう、スパイラスアップですね。

“C”で検証・確認の結果、
“A”で改善・処置を行い、それを反映した、
“P”に進み、新しい計画を立案するのです。

要するに、「PDCA」ではなく
「PDCAPDCAPDCAPDCAPDCA・・・・」
なのですよ!

本日最後に、
安全情報の公表について、確認です。

安全情報で公表するのは、
「目標」と
「目標達成度」であり、

「措置(達成手段)」でも
「措置(達成手段)の実施状況」でもありません。

もちろん、
「措置(達成手段)」「措置(達成手段)の実施状況」も
公表していただくことは非常に良いことですが、
それは、あくまで、
「目標」と「目標達成度」を公表した上でのことですよね。

「目標」と「目標達成度」を公表する代わりに、
「措置(達成手段)」「措置(達成手段)の実施状況」だけを
公表しては、意味がありません。

「運輸安全マネジメント」の元である、
ISO9001の審査に出向くと、
「目標」ではなく、
「達成手段」のみの進捗管理を行っている企業を
よく見かけます。

例えば、運送業で
“目標=人身事故年間0件”
この目標を達成するための”達成手段”が
5つあったとすると、

私:「目標の達成度はどうでした?」
企業:「ドライバー研修も計画通り、月2時間実施しました。
    また、ドラレコを全車両に装着しました」
私:「いや、達成手段の話ではなく、目標は達成できたのですか?
  要するに、人身事故は、何件でした?」

このような、やり取りがよくあります。

運輸安全マネジメントで公表が義務付けられているのは、
あくまで、「目標」と「目標達成度」です。

「目標」と「目標達成度」を公表した上で、
「措置(達成手段)」「措置(達成手段)の実施状況」も
公表するのは良いことですが、

「措置(達成手段)」「措置(達成手段)の実施状況」だけを
公表しているのは、
運輸安全マネジメントの義務事項に反しますね。

そこをよく理解してください。

「目標」が定まったら具体的に「教育・研修」について実施しなくてはなりません。
この「教育・研修」は、すべての運輸事業者にとっての
義務事項(未実施の場合は行政処分の対象)である
「効果的かつ適切な指導及び監督の実施に必要な措置」の一つです。

「義務事項」ですから、必ず実施しなくてはなりません。

手間・暇・お金をかけて必ず実施すべき教育・研修ですから、
実りのある内容にした方が良いに決まっていますよね。
また、指導監督における教育・研修を数年間実施しても
効果が現れないようであれば、指導監督義務として不適切であると判断されかねませんね。
では、その前に、運輸安全マネジメントにおける「教育・研修」を
実施しなくてはならない根拠である、
国土交通省から出された告示の内容を確認してみましょう。

その中には、
“事業者は、従業員に対する教育及び研修を体系的に実施する等の
措置を講じなければならない”
と定められていますね。

また、
“効果的かつ適切な指導及び監督の実施に当たり配慮すべき事項”
として望ましい事項として、次のように定められています

“参加・体験・実践型の教育及び研修の実施等”として
“教育及び研修を実施するに当たっては、対象となる従業員の
   年齢、経歴、能力等に応じた具体的な計画を作成し、
   具体的な事例を解決することに重点を置く手法や、
   グループ討議等の手法を取り入れた教育及び研修を
   実施するとともに、当該教育及び研修を一層充実したものと
   するためにその効果を確認すること。”

ムム、さすが御役所文!ひらたく言ってくれないと分かんない~
と内心思われている方の為に、これらを一つ一つ説明していきましょう。

まず大前提として
教育・研修は、”効果的”で、”適切”であることです。

“効果的”で”適切”である教育・研修のためには、
ここでも、
PDCAを活用しなくてはなりません。

PDCA・・これは、(しつこい)

P=PLAN(プラン):計画、立案
D=DO(ドゥ):実施、運用
C=CHECK(チェック):検証、確認
A=ACT(アクト):改善、処置

この、PDCAを廻して改善していくことを
一般に「マネジメントシステム」と言いましたね。

教育・研修においてもPDCAで廻してみてください。

まず、教育・研修の「P:Plan:計画」ですね。

教育研修計画を立案することになるのですが、
ただ、漠然と計画を立てても意味がありません。

その、教育・研修計画の”根拠”が必要です。

なぜ、その教育・研修が必要なのかということですね。

そのヒントになるのが、国交省の告示に書いてありましたね。

“・・対象となる従業員の
   年齢、経歴、能力等に応じた具体的な計画・・”

そうです。
年齢とは、ドライバーの場合、30歳と66歳では、
運転時の反射神経が違い、若い方が反射神経は良いに決まっていますね。
逆に、若い方が、ちょっとしたことで
カッカ来て運転が荒いかもしれません。
(この辺はヒューマンエラー対策にも影響しますね)

経歴とは、その従業員の今まで経験してきた経歴ですよね。
ドライバーの場合では、運転歴が5年なのか、20年なのか。
また、配車経験があるのか無いのか、リスク管理の経験があるのか?

能力とは、その従業員が持っている力量ですね。
ただ、ここでよく勘違いされる方がいらっしゃいますが、
「持っている能力」と「発揮した能力」は違います。
例えば、「けん引免許」を持っているドライバーが居たとします。
このドライバーは、トレーラーをけん引する能力を
国から認められているのですよね(免許があるので)。
しかし、勤務先の運輸会社では、けん引の仕事をさせていなければ
その能力が発揮されたとは言えないですね。

この事例は、会社側がドライバーの能力発揮の場を与えなかった例ですが、
逆の場合もあります。

いわゆる、「ペーパードライバー」ってものですね。

私の所属する組織でも、
普通免許は持っているのですが、高速道路が運転できない
従業員が居ます。

通常、普通運転免許は高速道路を運転しても良いという
国のお墨付きなのですが、それが発揮できない・・
ということですね。

前述の「持っている能力」と「発揮した能力」については、
「職能資格等級制度」や
「人事評価制度」を理解していない方にとっては
よく陥るエラーです(実際、ホント多いですよ)。

少し、横道にそれましたが、
能力とは、その従業員が保有しているモノですね。

そして、保有している「能力」の裏付け(根拠)が、
「経験」「経歴」「資格」「免許」等ですね。

先ほどの事例ですと、
「私は、トレーラーのけん引業務のエキスパートです」という
能力の裏付け(根拠)として、
「けん引免許」の保有や、
「トレーラー運転歴15年」という経歴等があるのです。

国交省からの告示に表記されている、
これら、
「年齢」「経歴」「能力」等を根拠に
教育・研修の「P:Plan:計画」を立案します。

PDCAの”P”・・
教育・研修のPlan:計画 を立案する場合は、
その”根拠”が必要です。
“根拠”を考えるに当たりヒントになるのが
国交省の告示に書いてある”・・対象となる従業員の年齢、経歴、能力等に応じた具体的な計画・・”
「年齢」「経歴」「能力」等を根拠にした
教育・研修の「P:Plan:計画」の立案方法としてベースとなるのは
ISO9001の教育・訓練の考え方ですが、(前節が長すぎました?)
ISO9001(JISQ9001)の”6.2.2力量,教育,訓練及び認識”の
要求事項を説明すると。

  会社は、従業員ごとや、各役職、各職務に要求する
  力量のハードルを設定する必要があります。

  そして、各従業員をその力量のハードルに当てはめた結果、
  ハードルに満たない従業員に対して、教育・訓練を計画し(Plan)、
  (この計画が教育・訓練の「ニーズ」と言います)
  実施し(Do)、その結果、従業員が力量のハードルを
  超えることができたのかを検証し(Check)、
  ハードルを越えられたのであれば、
  更に力量アップのための施策を検討し(Act)、
  ハードルを越えられなかったのであれば
  ”他の処置” (Act)をとらなくてはなりません。

“他の処置”とはどのようなものか説明します。

例えば、御社のドライバーで、C便担当するドライバーは
「フォークリフト免許」が必要だとしますね。
これば、会社がドライバーに要求した”力量のハードル”の
一つです(顧客からの要求事項でもありますね)。
この場合、このドライバーに「フォークリフト免許」を
取得させるための教育・訓練計画を立案します(Plan)。
そして、フォークリフト免許取得研修を受講させ(Do)、
免許取得ができたのかを確認します(Check)。
この事例は、ドライバーは会社が要求した力量のハードル・・・
つまり、「フォークリフト免許」を取得できたので問題ありませんよね。

でも、もし、「フォークリフト免許」を取得できなかったなら・・・

“他の処置”が必要です。
“他の処置”の具体的事例として、
・他のドライバーにC便を担当させる
・新しく、フォークリフト免許を保有しているドライバーを雇う
・C便を他の業者に外注する
 などです。
この事例は、いわゆる”資格・免許”ですから判りやすいのですが、
単なる”力量””能力”だと、多少わかりづらいですが、
考え方は、まったく同じです。

この”他の処置”はISO9001の目的である「顧客満足」を実現するためには非常に重要です。

運輸安全マネジメントの目的である「事故の削減・撲滅」を
実現するためにも
非常に重要ですね。

では、話を戻して、
教育・研修計画の立案についてですが

ここで一つ質問です。

みなさんの会社で次の
AさんとBさん、二人のドライバーが居たとしますね。

この、AさんとBさんの
教育・研修内容は同じでいいですか?

それとも、違う教育・研修が必要でしょうか?

  Aさん:
  年齢=40歳  運転歴=20年
  事故歴=20年間ナシ  違反歴=20年間ナシ
  
  Bさん:
  年齢=63歳  運転歴=4年
  事故歴=過去4年で物損事故2回、人身事故1回 
  違反歴=軽微の違反がたまにある、現在の減点は2点

Aさんは、いわゆる「優良ドライバー」ですね。
Bさんは・・・「中程度以下のドライバー」ですね。

この「優良ドライバー」であるAさんと
「中程度以下のドライバー」であるBさんが
同じ教育・研修では、ダメです。

もちろん、Aさん、Bさん同時に受けてもらう研修もありますが、
全ての教育・研修が同時ということは非常によくないことです。

そもそも、教育・研修を行うのには、
「目的」が存在します。

その「目的」は、
AさんとBさんとでは違いますから。

Aさんの教育・研修の目的の例としては
 ・今後も無事故無違反を継続してもらう
 ・模範ドライバーになるため
 ・より、生産性高い業務をおこなうため  等々

Bさんの教育・研修の目的の例としては、
 ・事故を二度と起こさないため
 ・違反を二度と起こさないため
 ・定年までの2年間問題なく就業してもらうため  等々

このように、同じ会社の同じ職種でも、
教育・研修の「目的」が違うわけですから
教育・研修の「内容」が違ってくるわけです。

また、先ほど説明したように、
Bさんの教育・研修を実施した結果、
その「目的」が果たせなかった場合は、
当然、”他の処置”が必要なのは言うまでもありませんね。

この、”他の処置”は、皆さんの会社の
社会や荷主さんに対する責任ですよね。

事故を起こすかもしれないドライバーを
そのまま、公道に出すのではなく、
教育・研修の結果、事故を起こさないようにさせたり、
教育・研修をしてもやはり無理であったら、
“他の処置”である、
他のドライバーに変えたり、
その業務を外注に出すことが必要でしょう。

教育・研修についても
PDCAが必要であり、
教育・研修には、「実施目的」があることを
ご理解ください。

2種類の教育・研修についても説明しましょう。

国土交通省が作成した
「安全マネジメントの実施に当たっての手引き」には、
次のように規定されています。

“輸送の安全に関する目標を達成するために、
 ・・中略・・必要となる人材育成のための教育及び研修を着実に実施する”

これは、わかりやすく説明しますと、
義務事項である、輸送の安全に関する
「目標」(例:人身事故年間発生0件)を達成するために
必要な人材を育成するための教育・研修のことです。
これが、1つ目の教育・研修です。

あくまで、「目標」を達成するために必要な教育・研修ですから、
目標の内容如何にもよりますが、教育・研修の対象者は、
ドライバーが中心になるでしょう。
なぜなら、運輸安全マネジメントの「目標」は、
事故削減・撲滅目標であり、その目標達成を
現場で遂行するのはドライバーですからね。

この、1つ目の教育・研修は、
運輸安全マネジメント制度とは、別に、
「安全規則」(貨物の場合)、「運輸規則」(旅客の場合)で
決められている、ドライバーに施す11項目(10項目)の教育や
高齢者、事故惹起者及び初任者に施す教育とは
法令の根拠は違いますが、実際の教育・研修としては
含めていただいて構わないと思います。
また、この1つ目の教育・研修は、「目標」達成のための
“「措置(達成手段・行動計画)」”と重複しても
差し支えありません。

次に、2つ目の教育・研修です。

これも、国土交通省が作成した
「安全マネジメントの実施に当たっての手引き」には、
次のように規定されています。

“安全マネジメントが効果的に運用されるよう、
  安全マネジメントに係る要員に対する教育及び研修を行う”

これも、わかりやすく説明しますと、
安全マネジメントを運用し、事故が削減できるように
安全マネジメントを運用する要員に対する教育・研修を行うことです。

“要員”とは、誰のことでしょうか?
(文言までISO9001用語が出てきています。)

この場合の、”安全マネジメントに係る要員”とは、
安全マネジメントを運用する会社の社長、経営層、管理者層、運行管理者等が該当します。
社内における、上層部の方たちですが、もちろん、ドライバーの方でも
一般ドライバーを指導する立場にある、
「主任ドライバー」を含めることは問題ありませんし、
一般ドライバーにも運輸安全マネジメント制度を理解してもらわないといけません。

一般ドライバーを含めるべきでしょう

要するに、
運輸安全マネジメント(安全マネジメント)を運用すべく
御社の方々に対する
運輸安全マネジメントに関する教育・研修のことです。

でも、
“運輸安全マネジメントに関する教育・研修”って、
どのようなものでしょうか?

それは、
私が各地のトラック協会さん等で実施している
「運輸安全マネジメント研修」がスバリ該当しますし、
「内部監査員研修」も該当しますね。

要するに、運輸安全マネジメントを運用し
成果を出すために必要な教育・研修であれば、
すべて該当することになります。

初級者向けには、前述の
「運輸安全マネジメントとは?研修」等、
中級者向けには
「運輸安全マネジメント実践研修」「内部監査員研修」等
上級者向けには
「ヒューマンエラー対策講座」「リスクマネジメント研修」等が
該当するでしょう。

これが、2つ目の運輸安全マネジメント関連の教育・研修です。

では、今回はこの辺で失礼します。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。